気が付かれなかった取り替え子

ここは、とある人物の出来事が手記として現れる、隙間の世界です

老人ホームの清掃②

 老人ホームの清掃①

 清掃方法は主任から教わったが、主任自身が清掃用具の使い方が分からず少しだけまごついた。

 この時、清掃の人で真面目に掃除をしてくれない人もいるので、まだ未定の清掃が決まった時には、また主任が掃除を教えるという事を教わった後、清掃作業が始まったが、主任が一緒について回ってくれるわけではなかった。

 当然だろう。普段は清掃の仕事をしている人ではないのだから。

 なので最初の道具の使い方や掃除方法を教わったら、掃除が一区切りし片付けの作業が始まるまで、私はAさんと二人で初めての仕事をこなしていた。

 その時は、人手が少ないから仕方ないだろう。人手がなくって看護師さんが清掃業務もしていたくらいし。

 作業も、入居者がほぼ出払っている時間帯、電動ベッドの下側含めた各部屋の床掃除と、加湿器の水補給だけで作業自体だけを見れば比較的覚えやすいし、何とかなるかな?

 などと呑気な事を考えていた。

 それに、私のよく知るAさんが一緒に居てくれたので心強かった。

 だからこの日は、電動ベッドでゴミ箱を壊しかけた後に、従業員からゴミ箱など挟まれやすいから気を付ける様言われた事。

 カーテンの閉まっている人のいる部屋や、落ちている物の対処でどうすればいいか(嫌がる人がいないか、ゴミなのか何なのか判別がつきにくい何かの部品は捨てていいか等)分からなかったり、利用者さんの室内に入る時、室内の状況に合わせた挨拶の細かいルールが分からなかった事。

 加湿器の水を補給するために、加湿器の容器を持って移動しなくてはいけない場面があったのだが、近くで利用者さんが寝ていて、水で濡れた加湿器は重く滑りやすいので頭に落とさないか不安な事はあったりとしたが、次の実習も参加した。

 聞く事はメモを取りながら、Aさんと一緒にやっていった。

 手書きと、何かをやりながら・聞きながら文字を書く・打つという行為がストレスになりやすいが、それでもやった。

 

 そして、支援事業所との雇用契約は、なるべく早く結ぶようにします。

 そう主任に言われて三日目、事件――といってもとても些細な事――が起きた。

老人ホームの清掃③