気が付かれなかった取り替え子

ここは、とある人物の出来事が手記として現れる、隙間の世界です

タンスの穴

 私が小学生の頃、ボロイ木造一戸建てアパートに住んでいた。

 トイレは和式の汲み取り式、脱衣所なんてないから家族全員裸丸見え。

 父親の体の一部に名前を付けたりネタにして遊んでいた。

 今から思うとかなり下品だな。子供はそういうの好きというけど、女の子がそれをしているのはどうなんだろうな?

 まぁ、社会常識なんて分からないが。

 

 そんなある日、私がトイレを使っている時に父親が間違って入って来てしまった。

 鍵はあった様な気もするが、戸に後から付けた簡素なカギで中で何かあると外から開けられなくなる状態だった。

 それが理由かどうかは知らないが、私含め家族はトイレに行くにも鍵を使っていなかったと思う。

 だから使用中でも簡単に中に入れるし、ドアをノックする習慣も特別なかった気がするので、それは仕方ない事だし私も謝ってくれたらそれでいいや。レベルにしか思っていなかった。

 

 さて問題はその後だ。

 父親は何を思ったのか、自分のタンスを蹴り始めた。すごい勢いで。

 私は大きな声で「うるさい!」と言ったが止めなかった。

 母親は「なんだろうね~」って感じで何もしなかった。

 

 私は怖がる素振りを見せなかったかもしれないが、もう何十年も経っているけど当時の事は今でもよく思い出せるし、気分はとても悪い。

 しかし家族はそんな事知っていても、何もしようとしない。

 何故って、タンスの穴を隠す事もなく長い間放置して、処分もせず、何十年も経った後に「○○(私の名前)はこのタンス嫌いなんだよね」と父親が言ってきたから。

 

 分かっているならすぐに処分しろ。

 そして今からでも遅くないから、異常な行動をした事を謝れよと。

 

  ちなみに、その穴を空けたタンスは親戚が父親にプレゼントした物だ。

 あとトイレの件の時、父親が謝ったかどうかは忘れた。

 しかし彼はとっさに「ごめん」が言えない、後から謝る事もしないという性格なので何も言わなかったかもしれないが、何にせよ謝っていようが謝っていまいが、ひたすら子供に迷惑掛けているだけなように感じるんだがな。