気が付かれなかった取り替え子

ここは、とある人物の出来事が手記として現れる、隙間の世界です

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 私はかれこれ十年以上、自助グループで手芸品作成をしてきた。

 だが、そろそろやめようと思う。

 理由は、色々な事が重なり、とにかくやる事を少しでも減らして負担をなくしたい。とか、スタッフとの信頼関係の問題等、事情があるからなのだが、昔から抱えていた問題があったのもある。

 

 

 私の参加している自助グループは、固定の場所で商品を販売している。

 そこで過去に、販売先から貰った使いづらいパーツを消費する為、色々調べたり知恵を振り絞って作った物が販売先で駄目だし、作った商品の駄目出しからのリメイク依頼。という事があったのだ。

 更に、同じ商品が数個欲しいと言うお客さんがいると販売先に言われ、遠出して似た様なパーツを買い、作って販売先に置くも件の客は現れずという事もあった。

 それはひたすら疲れた。

 もちろん私が断れば済む話でもあるが。

 

 そして私はこうした事などが切っ掛けで、こう思うようになっていった。

 ひたすら売れる事だけ考えて商品を作り、売れ残ったらバラしてリメイク、更に買った素材を無駄にしない様、残った素材を無駄にしない様考えての商品作り。という作業は、楽しくない。

 私はただ、私が作りたい物を自分が好きなように作るのが楽しいのだ。

 と……。

 

 更にこんな感情も持ち始めた。

 お客さんは私の作った物を本当にいいと思って買っているのか?

 私の作っている物は、デザインや完成度等のクオリティー面で問題がある物だってあると思っている。

 これを買っていくお客さんは、もしかしたら作った人が障害者だから買っているのかもしれない。

 私の作った商品は、全部『障害者』というブランドが付いているから、売れるのかもしれない……と。

 

 もちろん実際は分からない。私が不出来だと思った物が、他人から見れば上出来に感じるのかもしれない。しかし確かめる方法はない。

 だけど、『障害者』というブランドで売れた場面には遭遇した事がある。

 

 まあいい。私が自助グループに参加して商品作りをしない限りは、こんな考えに悩まされる必要も無くなるのだから。

 

 ちなみに過去に何度かやめようと思い、参加していない時期があったので、今回も数年後に復帰している可能性はある。

 私の意思の硬さなんてこんなものだ。