気が付かれなかった取り替え子

ここは、とある人物の出来事が手記として現れる隙間の世界です

電子レンジと母

 我が家にレンジが来たのは1998年頃で、遅めだったのかもしれない。

 購入の切っ掛けは引っ越しと共にオーブンを買い替えた事だと思う。

 とにもかくにも我が家にオーブンレンジがやって来た。

 

 しかし母はこういった新しい物への耐性があまりない人で、何かを切っ掛けに意味が分からなくなったとか怖くなったとかで

「買わなければよかった」

 と言った事がある。

 ただ使い続けていく内に特に気にならなくなったようで、それ以降は特にそういった事は言わなくなった。

(ただ電磁波防止シールは冷蔵庫に貼っていたし、レンジ周りにも貼っていた気がする)

 のだが。

 それから数年後くらいだろうか? ある日とんでもない事を言ってきた事がある。

「スプーン(金属製)を入れてチンしない方がいいよ。熱くなるから」

 

 ……。

 これを聞いた時、私は「こいつ頭は大丈夫か?」となった。

 なぜなら金属製の物をレンジで使ってはいけないなんて、初めから分かっているはずの事なので。

 

 何だろうな? 大げさかもしれないのだが

『それが命に関わるような事への注意であり1度説明を聞いて理解を示したように見えていても、数週間後には注意された事を無視して行動してしまう』

 という様な人なんか? 母は……。

 となった。