気が付かれなかった取り替え子

ここは、とある人物の出来事が手記として現れる隙間の世界です

個人情報の売買

 ヴィジュアル系バンドが流行った時、そう、SHAZNA(シャズナ)とか、La'cryma Christi(ラクリマ・クリスティー)とか、PIERROT(ピエロ)とか、DIR EN GREY(ディル・アン・グレイ)とかが流行っていた時期、姉はとあるバンドのファンクラブに入っていた。

 その時、そのファンクラブから送られてくる郵送物に書かれている自宅の住所が、誤字っていた。

 誤字と言っても多少分かり辛くなるという物で、問題なく郵送されてくるし放置していた。のだが、ある日、明らかに詐欺です! という郵送物が届いたのだ。しかも2回も。

 内容は、ジョーズかジョーンズって感じの外人が、日本のお金を海外のお金に変えるか海外の株を買うかして、なんかうまくやって稼ぎましょー。

 って言ってる感じだったと思う。

 そして私はこの明らかに詐欺な郵便物を見て、真っ先に思ってしまった。

『この自宅住所の書き方、姉が入ってるファンクラブと同じだ……』

 しかしその事は姉にしか伝えなかったかな?(うろ覚え)

 そしてうちの家族は馬鹿だが、この詐欺には引っ掛かる事もなく、だからと言って警察に相談する事もなく終わった。

 

 今の私なら「これは絶対ファンクラブから漏れた!」と、他の郵便物はこのような誤字は一切していなという証明を持って警察に届け出るんだけどなー。

 だが当時は『絶対ファンクラブの奴が漏らしてるじゃん!』と思うだけで何もしなかったのが、口惜しい……、口惜しい……! 口惜しい……!!

 とか、そこまで思ってないけど、ブックウォーカーで『嘘喰い』無料試し読みを見たら似たような話が出てきて、

「あれ、私もなんかうまくやれば小遣い稼げたんじゃね?」

 とか、そんな幻想を一瞬懐いてしまった。

(実際はそんなうまくいかんと思うし、警察に行くけど)

 

 ちなみに件のファンクラブのバンド名は、この記事内には出していない。

 あと、昔の話なのでガチで今ほど個人情報に厳しくはないと思う。多分。

 でも裁かれようが裁かれまいがやっている事は変わらないし、信用を失う行動だとは思うけどね。

 それとこのバンド、結構な不幸が降りかかってた。

 それでファンクラブとか管理してる会社も痛手負ったかは、知らないけどね……。

 

 ちなみに当時の私の推しバンド(この記事内にバンド名は書かれてない)は、20年たった今でもメンバーをほとんど変えることなく活躍している。