気が付かれなかった取り替え子

ここは、とある人物の出来事が手記として現れる隙間の世界です

母親が帰ってくる

 母親が見事廃人になってから家に帰るという段階で、私の存在が邪魔になった。

 私と母親は相性が悪いから、一緒に暮らせない。医者がそう言うなら仕方ないし、私もそう思う。

 だから私は姉と暮らす事になった。

 だけど私には収入がない。まともな社会生活を送れないから十代の頃死のうとしてたくらいなので仕方がないが。

 だから姉はお金の心配をし始めた。

「お金がない」「お金がない」

 私の前でそう言ってる姉の姿を見て、私は再び死のうと思った。

 もっとも、確実な方法ではなく処方された薬の過剰摂取だが。

 その後私は病院に運ばれ、入院が必要だと当時の担当医に言われ入院した。

 

 退院した時、姉は「病気が良くなったね」と言った。姉には私が良くなったように思えたらしい。

 そして私はそんな姉と一緒に暮らし始めた。

 もちろんその後も薬の過剰摂取とリストカットは止まらなかったが、誰も気が付く人はいないし、気が付いていたとしても何かする事もないし、そもそも私の家族ではどうする事もできないと思う。