気が付かれなかった取り替え子

ここは、とある人物の出来事が手記として現れる、隙間の世界です

失恋

 私が社会復帰に向けてやたらと頑張っている頃、六歳ほど年上の人と知り合った。

 彼はやたらと優しくて、私の行きたい場所には結構な遠出でも連れて行ってくれたし、買い物の為に車を出してくれたりもした。

 そして費用はいつも彼持ち。

 このままでは申し訳ないので、小銭は事前に用意していつでも出せるようにしていたし、食品を渡した時もあったな。

  そして私は、そんな彼を好きになったし信頼し始めたから、一人で暮らす家にも入れていた。

 

 しかし、彼は優しい『だけ』だった。

 いや、実際は分からないんだ。何せ私は答えを知らないのだから。

 取り合えず確実に分かっている事は、成り行きとはいえメールで告白をした事と、彼は返事を一切しなかった事だけだ。

 

 又聞き情報によれば、彼が私に優しかったのは私の就職活動を応援したかったから。だそうだ。

 しかし、就職の事やその他私の暮らしの事でプレッシャーやストレスを与える事を言う。事前に会えるか予定を聞いたのに会えるという返事は当日、事前に一言返事をするよりもゲームのオフ会大事。約束を忘れた理由はゲームをしていたから。そして、数日前まで普通に接していたのに突然の無視。という彼の行動は、私の就職を妨げてしまった。

 

 中途半端な優しさは、相手を一層苦しめる。

 ゲームが好きなら無理に私に付き合わず、数回誘いを断った後無視すればよかった事だし、相手にも時間や事情はあるものだし、突然連絡が取れなくなったら心配をするものなんだよ?

 しかもそれ、無視する前に一言説明があるだけでよかった事だよね?

 というか、せめて告白の返事は欲しかった。

「貴女の事は異性として見てなかった」「友達とすら思ってなかった」でもいいから、けじめを付けさせてほしかった。

 それに他人に愚痴るにも相手の返事がないと、説明しづらくて愚痴も満足に言えないんだよ?

 

 しかしそう思う一方で一番腹立たしいのは、相手が人格障害発達障害の気がある人だと知っていて、更に相手の言動で恋愛感情がない事を理解できていたのに、その事実から目をそらして『普通の幸せ』を追い求めた自分自身だ。

 本来ならば結果が見えていたのだから、終活の道具として使用した後でさっさと『念願の告白』イベント発動させて縁を切るべきだったんだ。

 それにその方が人間をやめている私にはお誂え向きだろうよ。