気が付かれなかった取り替え子

ここは、とある人物の出来事が手記として現れる隙間の世界です

子供の頃に1度だけ見た夢

 幼稚園の頃、ある夢を見た。

 

 私は夢の中で、家の近くの場所に立っていた。

 そしてこう思ったのだ。

『○○ちゃん(私の名前)は可哀そうだな。宇宙人に取り替えられちゃったのに、あの両親はその事に気が付かなくって』

 と……。

 

 その夢はたった1度だけ見た子供の頃の夢にも関わらず、今でも覚えている。

 そして私が20代頃だったか、ある事を知ってしまった。

 取り替え子と言われる現象が言い伝えられているという事を。

 

 私が見た取り替え子の話は、確かこんな感じだ。

 妖精が人間の子供を誘拐し代わりに妖精の子供を置いていく。

 しかしその事に気が付いた親は妖精が驚く様な突飛な事をして、子供を取り返す。

 

 

 確証なんてない。そもそもあの夢は、子供心に自分への関心が薄い両親に対する気持ちが表れた夢だと思っている。

 だけど、もしその気持ちが夢に現れたなら『宇宙人』と言う相手は両親の方ではないだろうか?

 だとしたら、もしかしたら私は本当に地球外生命体によって交換された偽の存在ではないのか?

 それに、あの両親は実際に取り替えられていても気が付く事はできないだろう。

 母親は子供の些細な変化に疎く、父親は例え変化に気が付いても、口に出して伝えようとしないから。

 

 と、そんな事を考えてしまう。

 

 ただ、例え私が地球外生命体で偽の存在であっても、私の仲間と言える地球外生命体は私の事を実験道具程度にしか思っていないのだろう。